セルフライナーノーツ


こんにちわ、いとちんです!
ということで、今回も作曲者としての視点から
アルバムについて振り返ってみようと思います。


1.夕闇からの前奏曲


アルバムの中で一番最初に作った曲です。
前回のアルバム『かたち』に収録されていた『ホログラフ』という曲の延長上の曲で
歌詞もホログラフの【僕】に銃口を向けられていた【君】が主人公になっています。

『ホログラフ』以降、ずっとやりたかったデジタルな感じのロックナンバーを
ようやくしっかりとした形で作ることができた曲です。
ぶっちゃけた話、この曲ができた時点で僕はもう満足おなかいっぱいでした。

もちろん1曲だけじゃアルバムは愚かシングルすら作れないので
他にも曲を書くことになるのですが……しかし、やりたいことやってしまった結果
次に何をすればいいのかがわからなくなってしまい……

そんなわけで、ここから長い迷走の日々が始まるわけですが
それらにつきましては、それぞれの曲で語っていこうと思います。


2.Black Roar(Spiral Arrange mix)


Tas9くん作詞・作曲・編曲のロックナンバーです。
蒼さんの高音がとても格好良いストレートなロックナンバーになったと思います。
また、ボーカルの収録ではManoさんにエンジニアをして頂いて
今まで最もクオリティの高い作品にして貰えたなと思います。
楽曲製作に関わってくれた皆様には本当に感謝です。

Tas9くん=テクノ・バラードのイメージがあった人にとっては
少し意外に思うかもですが、ロック好きなTas9くんの姿を知っている僕からすると
ついにきたかーって感じでした。

ちなみに、僕もこっそりとアレンジに参加をさせてもらっています。
タイトルの『Spiral Arrange mix』はTas9くんのギターに
僕のギターアレンジが重なり合っているところからきているそうです。


3.路地裏のFakebeats


またまたTas9くん作詞・作曲・編曲のロックナンバーです。
今回のアルバムの中で最も中毒性の高い曲です。
初めてTas9くんにデモを渡されたときは、あまりの展開についていけず
「え?え?」って言っているうちに曲が終わってました。^^;

でも聴けば聴くほど、色々な面が見えてきて
凄く面白い歌になったなーと思います。
正直、今回のアルバムの中で最もたくさん聴いている曲です。

この曲をアルバムの先行公開曲にしようと提案したところ、Tas9くんに
「この曲はアルバム内の異端児だから、先行公開曲にするのは止めよう」と
言われたエピソードがあったり。

ここまでが、アルバムの前半戦で【闇に向かう】イメージを描いた部分となります。


4.ゴーストライター


2012年の8月頃に作った曲です。
1曲目『夕闇からの前奏曲』の次に作った曲ですね。
夕闇以降、自分自身どんな曲を作りたいのか全くイメージが出来ない日々が続いていましたが
このままじゃダメだと思い、とりあえず何でもいいから作ってみようと思って作った曲です。

アコギとピアノ中心の音作りは、1stアルバムの頃に戻ってますね。
どこへ進めば良いかわからなくなったので、一旦元いた場所に戻ってみた感じでしょうか……

改めて聴いてみると、今回のアルバムの中で最も『かたち』よりにある楽曲だなと思います。
きっと、新しいことに挑戦する前に、一度地に足をつけておきたかったのでしょう。
激しい曲が続く中で、良い感じに箸休め的なポジションに入ってくれたと思います。


5.メビウスの幻奏曲


昨年秋のM3にて配布させていただいた
relateの2ndシングル『メビウスの幻奏曲』の表題曲です。
唯一のシングル曲ということで、本作の看板曲とも呼べる歌です。

作詞と作曲と編曲は毎度のことながらTas9くんです。
本当に今回のアルバムはメインコンポーサーとしてTas9くんが
良い仕事をしてくれたなぁと思います。
しかし、CDを出す度に僕のやることがなくなってる気が……

アルバムバージョン明記されている通り
シングルのときとは少しアレンジが変わっています。

当初はこの曲の相方の「フリージー」も収録するつもりだったのですが
最終的には「メビウスの幻奏曲」だけを収録することになりました。

アルバムに収録するに当たって、朗読を入れてみようか、いろいろ案があったのですが
結局お蔵入りになってしまったり……むむぅ。


6.UNROCK


「閉じ込めることが出来ない」という意味でアンロックというタイトルです。
ちなみに、その意味でみると正式な綴りは"UNLOCK"となります。

"UNROCK"だと「ロックじゃない!」という意味になってしまいます。

ロックナンバーを作りたいのに思うように作ることができない
そんな自分に対する皮肉の意味を込めて、このタイトルにしました。

ダブルミーミングかと思ったら全然そんなことなかった!!

これも2012年の8月頃に作った曲で
『ゴーストライター』や『夜明け前の協奏曲』と同時期に製作した楽曲です。
『夕闇からの前奏曲』でやりたいことを終え、次にどんな曲を作ろうかと悩んでいた時に
Tas9くんが『路地裏のFakebeats』という曲のデモを持ってきてくれて
それを聞いて「あ、僕も和風やってみよう」と思い作りました。

パクリかよ!!


7.walled


読み方はウォールドで、壁に囲まれているという意味です。(造語じゃありません)
2008年に作った曲ですね。懐かしい。

確か、2011年頃「好きな自作曲ランキング」というテーマで
ブログを書いたことがありまして、そのとき第一位に輝いたのがこの曲です。

確か他にランキング入りしていた曲は
「Not correct」「積み木の城」「かたち」「Discredit」「トモシビ」「空へ」
だったと思います。

「かたち」と「Discredit」は前作のアルバムでリメイクしてますね。
今後もこの辺の曲はリメイクされる可能性がかなり高いです。
ちなみに、サークル内では「願いの歌」をリメイクして欲しいとの要望があったり。

個人的にはCDを出す毎に、色んな曲をリメイクをしていきたいのですが
でも、うーん、やっぱ新曲を作るほうが楽しいからなぁ……
今後またリメイク曲があるかはどうかは微妙です。


8.Peace of Melody


Tas9くんとのコラボ曲です。
昔Tas9くんと一緒に作ったPlace of Memoryという曲を
リメイクしようというところから始まったのですが
アレンジを変えて、メロディーを変えて、歌詞を全部変えたところ
気づいたら完全な新曲になっていたというお話です。

「音楽によって荒んだ僕らの心が、明るくなっていく」
というテーマのもとで、途中までTas9くんが歌詞を作り
それを僕が引き継ぐという流れで作りました。

『夢の挫折』をテーマにしている『walled』に対して
音楽によって心が癒されていくことをテーマしたこの曲は
アンサーソングと言うか「救い」に当たる曲なのかなーと思います。
是非ともこの2曲は続けて聴いていただけたらなと思います。

Tas9くんがここまで狙って作ってくれたのだとしたら凄すぎです。

ここからラストの『夜明け前の協奏曲』までが
アルバムの本質とも取れる【夜明け】をテーマにした楽曲たちとなります。


9.月明かりの下で


relateの2ndシングル『メビウスの幻奏曲/フリージー』に収録されていた曲で
先行配信曲としてホームページにも公開されていた曲です。

今回【夜】をテーマにしたアルバムを製作してきたわけですが
このコンセプトを決める、きっかけになった曲が実はこれでした。

この歌を音桜さんに歌ってもらったときに、次のアルバムはこの曲を中心に
夜をテーマにしたアルバムにしようと決意したのが始まりでした。
なので、この曲は絶対に外せないと思い、前回に続き再収録とさせてもらいました。


10.午前2時の演奏会


アルバムで一番最後に作った曲です。

『メビウスの幻奏曲』がアルバムの看板曲で顔だとするのなら
この曲はアルバムの心臓部といったところでしょうか。

色々と迷走してきましたが、最後にこの曲を作ることで
アルバムに決着をつけることができた気がします。
僕にとって、アルバムの集大成とも呼べる曲です。

また、歌詞もアルバムに収録した楽曲を繋ぎ合わせて作っています。
例を上げますと、アルバムのキャッチコピーとなった

~閉じた部屋にそっと歌が響く 夜がいま明けてく~

という詞があるのですが、この部分は「閉じた部屋」にと「明けてく」から
『UNROCK』を暗示した部分となっています。
ほかに例を挙げますと『ゴーストライター』の場合は

~舞台裏にずっと隠れてた亡霊の憧れで~

という部分になりますね。こういう歌詞は書いててすごく楽しかったです。
(手抜き……では、ないはず?……きっと……^^;)

この後の2曲が「アンコール」的なポジションにある曲なので
自分の中ではこの曲が、今回のアルバムのラストナンバーのイメージです。

11.開演の足音


初のインスト曲です。

元々は12曲目の『夜明け前の協奏曲』のイントロとして作った曲だったのですが
「どうせだったら、2曲に分けちゃえば」という
Tas9くんとねたにくんの案により、まるごと切り離して一つのインスト曲としてしまいました。

ここからアルバムの第二幕が始まるよという意味を込めて
パレードの始まりみたいなイメージの曲になっています。

12曲目の『夜明け前の協奏曲』とは曲がそのまま繋がっているので
初めて曲を聴いた人はどこで曲が切り替わったのかわからないかも・・・。


12.夜明け前の協奏曲


アルバムのタイトル曲です。
タイトル曲ですが、1曲目の『夕闇~』から10曲目の『午前2時~』までで
一つの流れとしては既に終わっているので、この曲と『開演の足音』の2曲は
どちらかというとアルバムの外側のイメージです。

暗い曲が多くなってしまったので、最後くらいは前向きな曲にしようと思い作りました。
(まぁ、実際に作ってくれたのはねたにくんとTas9くんですが^^;)

歌詞が『午前2時~』と示し合わせたような内容になっていますが
前もって打ち合わせなどしておらず、出来上がったものを見せ合ったら
偶然一致していただけだったという、非常にどうでも良い裏話があります。

ちなみに、今回なんと花霄さんにコーラスパートを作ってもらいました
これが本当に素晴らしくて、こういうことは滅多にないのでものすごく嬉しかったです^^


13.ボーナストラック


まぁ、ぶっちゃけると、これが作っていて一番楽しかったわけですが……

……あー、えっと、あれです。
真面目に聴いてくれた人ほど損する内容です。(え?)


最後に


少し気の早い話になってしまいますが
実はもう次回用の楽曲はほぼ出来上がっていたりします。

方向性としては今回とは全然違う感じになっていますが
でも、確実に今より良いと思える曲になっていると思っています。

まだまだ未熟者ですが、是非とも長い目でお付き合い頂けると幸いです。

ではでは、ここまで読んで下さった皆様
本当にどうもありがとうございました。

2013年4月27日 いとちん