セルフライナーノーツ

01. Jack the Drop Driver


歌:蒼-aoi- 作詞:いとちん 作曲/編曲:Tas9

~豆の木を登り続けても 雲間から落ちる僕はDiver~

作詞いとちん、作曲Tas9によるハイテンションなオープニングナンバーです。
Tas9君曰く「ジャズを意識して作った曲」だそうな。

確かに、言われてみれば間奏のベースソロからギターソロ、サックスソロ
と続いていく辺りは、各パートがそれぞれの音を聴きながら即興で
音を繋げていくような、そんな臨場感があります。

Tas9君としては元々、この曲はアルバムに入れるつもりはなかったらしいのですが
僕がこの曲をアルバムに入れたいと説得したことで収録が決まりました。

タイトルの「Jack the Drop Driver」というのは、Tas9君がノリで決めたものです。
この題名を聞いたときに、これはきっとジャックと豆の木を題材にした楽曲なんだと思い
詞を書かせてもらったのですが、出来上がった詞を見て「全然違う」と言われました。
でも、なんだかんだで、結局そのまま歌詞が採用されることになりました。(良かった)

ちなみに、8曲目に収録している『underworld』はこの曲の逆で
Tas9君が作詞を、僕が作曲を担当しています。聞き比べてみると面白いかも。

02. 麻酔


歌:蒼-aoi- 作詞/作曲:いとちん 編曲:いとちん&ねたにゆうや

~今は痛みのないこの場所で ただそっと眠らせて~

シンプルなロックナンバーです。
ギター、ベース、ドラムだけでほぼ曲が成り立っているというのは
自分の曲としては珍しいかも。

『麻酔』というタイトルが非常にrelateのメンバーに不評で
英語にして『anesthesia』というタイトルにしろと言われていたのですが
最後まで仲間の意見を無視してこのタイトルを貫かせてもらいました。
わがまま言って、ごめんなさいでした……。

前作『Skyblue-Sky/End of Sky』に収録させていただいた
『sleeping sleeper』という曲とこの曲は双子曲で歌詞も繋がっています。
アルバムで「ただそっと眠らせて」と麻酔で言った後に『sleeping sleeper』が
流れる構成を考えていたのですが後者が急遽シングルに収録されることになり
結局この2曲はそれぞれ別のCDに分かれてしまいました。残念……。

03. Diswall


歌:ハズレ 作詞/作曲/編曲:Tas9

~存在の証明に必要なものは 壁の向こうに触れる意志だけで十分だよ~

ゴキゲンなアコースティックギターが印象的な
カントリー調のポップスロックナンバーです。
アルバムの中でも最も聴きやすい曲になっていると思います。

一つのリフを軸に曲を構成していく方法は、僕の作曲では常套手段なのですが
それをTas9君がやってくれるとは思いませんでした。
できるけどただやらなかっただけ、ということなのでしょう。

タイトルで気付くかもですが、実はこの曲は2nd Album『夜明け前の協奏曲』に
収録させていただいた『walled』という曲のアンサーソングです。

前作では壁に囲まれ、塞ぎ込んでいた主人公が
この曲では壁の乗り越えて成長していく姿が描かれています。

『walled』を意識して作ったとのことですが、なるほど
Tas9君がポップス系ロックナンバーを作るとこうなるのか。

※Tas9君に確認したところ、僕の歌詞の解釈はTas9君の考えとは
また違うらしいです。(突っ込まれたので、追記しておきます)

04. 春を待ちながら


歌:さいとうみちる 作詞:ねたにゆうや 作曲/編曲:いとちん&ねたにゆうや

~待ち焦がれたよ 早く逢いたい~

イラスト担当のねたにくんと僕とで一緒に作った楽曲です。
『Diswall』と並び、アルバムの中でも特に聴きやすい感じのポップス曲です。
前者がカントリー調だったのに対してこちらはアイドルソングって
イメージでしょうか。

結構作るのに苦労した曲で、最初の方に作り始めたはずが
気付いたら一番最後に完成することになってました。

ギター、ベース、ドラム、ピアノ、ストリングス以外にも
琴、ピッコロ、アコースティックギター、シンセサイザー、電子音など
色々な音があちこちで鳴っていますので、探してみると楽しいかも。

Tas9君とねたに君はアルバムの1曲目はこれが良いんじゃないかと
言っていたのですが、僕が『Jack the Drop Driver』をリードトラックに
押したため、結局この位置となりました。

05. 夜間飛行


歌:紺野聖 作詞/作曲/編曲:いとちん

~これが君と見る最後の景色と思えば きっと~

サビで一転するパワーバラードです。

今回のアルバムの中では唯一、僕が一人で作詞・作曲・編曲を手掛けた曲です。

実のことを言うと、デモの段階ではこの曲はあまり自信がなく
ボーカリスト様に依頼するのは気が引けるので自分で歌おうと思っていました。

ですが、歌の収録をしているときにふと
「この曲ひょっとして、一番出来の良い曲なんじゃないか?」
と思い、悩んだ結果、最終的には自分で歌うのは勿体ないという結論に至り
紺野さんに依頼をすることになりました。

今ではすっかり、お気に入りの曲です。
自分で作ったはずが、こんな手のひら返しをすることになるなんて……。

06. Imagia


歌:さいとうみちる 作詞/作曲/編曲:Tas9

~駆け抜けた夢の彼方 また会える遥か先で~

ストリングスを中心にしたこれまでにないタイプの楽曲です。
ロックっぽくなりすぎないように、あえてギターレスでサウンドを
構成しているのですが、ピアノやパーカッションが跳ね回っているので
結構激しい印象を受けるかもしれません。

非常に良くできたスルメ曲で、聴けば聴くほど
どんどん曲の世界にはまっていく、そんな曲に仕上がっていると思います。

次の『僕らの天球儀』と合わせて、このアルバムの核となる曲の一つです。
個人的には『麻酔』『sleeping sleeper』と同様に
この曲と『僕らの天球儀』は二つで1セットの曲なのかなと思っていたり。

そういえば2012年の2nd Single『メビウスの幻想曲/フリージー』の頃から
今回のアルバムの企画がありまして、思い返せば既にその頃には
この曲のデモを聴いていた気がします。

そういう意味では今回のアルバムは全部新曲ではありますが
これまでの僕たちの集大成とも呼べるベストアルバムみたいなもの
なのかも知れません。

07. 僕らの天球儀


歌:花霄凌 作詞/作曲/編曲:Tas9&いとちん

~出会う物語には その全てに意味があると信じて~

本作のタイトル曲です。
前曲から引き続き、ロックにならないように
あえてギターレスでアレンジをしたポップス曲です。

前曲の『Imagia』は結構激しめのアレンジであったのに対して
こちらはかなりバラードよりのポップスなのかなと思いました。

クレジットは作詞/作曲/編曲:Tas9&いとちんとなっていますが
実際はほとんどTas9君が一人で作っていて、僕は2番の歌詞と
一部分の作曲・編曲をお手伝いさせてもらっただけです。

タイトルになっていることからもわかるように、このアルバムの代表曲です。
キャッチコピーの「全ての物語に、意味があると信じて」もこの曲の歌詞が
元になっています。

08. underworld


歌:ハズレ 作詞:Tas9 作曲:いとちん 編曲:いとちん&ねたにゆうや

~悪魔はどこで生まれた?~

2面性のあるロックナンバーです。
本作で唯一relateのメンバー全員が作詞/作曲/編曲で絡んでいる楽曲です。
(なんか、ちょっと意外だ……)

凄く気に入っている曲で『麻酔』とどちらを先行配信曲にしようかと
かなり悩みました。(結果、両方共配信曲にさせていただきました)

個人的にはメロディーのキャッチーさやサビの疾走感はこちらの方が
上かなと思っています。逆に、曲の構成や雰囲気は『麻酔』の方が
上だったかなとも感じています。

ちなみに本作で一番短い期間で作られた曲です。
3時間くらいで一気に曲を書いた後「新曲できたー」ってTas9君にメールしたら
その直後に「作詞したよ」ってメールが返ってきて、あっという間に
曲が完成してしまったというエピソードがあります。

僕としてはアルバムの1曲目か2曲目にしたかったのですが
歌詞が暗いからダメとメンバーに反対され、結局この位置になってしまいました。
その代わり、交換条件として元々アルバムの最後の方の予定だった
『麻酔』を2曲目にしてもらったという裏話もあったり。

09. フリティラリアの花びら


歌:紺野聖 作詞/作曲/編曲:Tas9

~降りしきる雨音は 切なさ覆う帳で~

テクノとクラシックの要素を含んだミクスチャーロック……でしょうか?
ジャンルが良く分かりませんが、とにかく美しい曲です。

『スターレット・シルエット』と並び、アルバムの中で最も
メロディーの良い楽曲の一つだと思います。
このタイプの曲は本当にTas9君のメロディーセンスが光りますね。

非常に手数が多く、アレンジではかなり苦労していたようですが
よくここまで曲をまとめることが出来たと思います。

制作中、あーだこーだ口うるさく指摘をしてすみませんでした。
でもこの楽曲にミックスで関わることができて、本当に光栄だと思っています。

10. スターレット・シルエット


歌:咲優音桜 作詞/作曲/編曲:Tas9

~私の歌声で 世界を明るく出来るようにと願うよ~

優しい雰囲気のバラード曲です。
前曲から引き続き、非常にメロディーの美しい歌になりました。

歌、メロディ、すべてがピンポイントで涙腺に触れてくるので
この曲を聴くと、本当に毎回泣きそうになります。

Tas9君曰く、「みんなのうた」を意識して作ったとか。

ちなみに、Tas9君がこの曲を持ってきた日に僕も「夜間飛行」を
持っていったため、お互いがそれぞれの新曲を聴いて
「やべ、被った!」となってしまったという、どうでも良い裏話があったり。

気が合うというかなんというか……取りあえずアルバムの中では
この2曲は近づけないようにしようという暗黙の了解が二人の間で
芽生えたとか芽生えなかったとか。

11. Information Attraction


歌:U-TA 作詞:Tas9&いとちん  作曲/編曲:いとちん

~いや違う!だからその考え方は間違っている!
 そんな話で国民が納得するわけがない!!~

『フリティラリア』『スターレット・シルエット』の感動と余韻を
ガラガラと崩してくれる、アレな感じの楽曲です。

Tas9君曰く「これまでのいとちんの曲とは圧倒的に一線を画する曲」だとか。

良い意味なのか悪い意味なのかは分かりませんが
いずれにせよ、アルバム収録曲として採用してもらえたことは
僕個人としては非常に嬉しいことでした。

こういうネタ曲はちょくちょく作ってはいたのですが
正式にrelat名義で発表するのは初めてです。
とにもかくにも、こんな曲を歌わせてしまい、U-TA君、本当にすみませんでした。

ちなみに、この曲もかなり古い曲で、2nd Album『夜明け前の協奏曲』の頃には
既にできていた曲でした。
(ボーナストラックのラジオ番組の裏でインストがずっと流れていていたり)

当初は3rd Singleのカップリング曲として収録予定だったのですが『sleeping sleeper』
を急遽収録するにあたり、歌詞カードの制限のせいで結局シングルに収録されなかった
という悲しい過去を持つ曲です。

12. Road to spiral


歌:花霄凌 作詞/作曲:いとちん 編曲:いとちん&ねたにゆうや

~物語の新しいページを開いて 今度は君の手で~

アルバムで一番最後に作られたゆったりとしたバラードです。

『定刻、いつもの遊歩道にて』然り、『Peace of Melody』然り
『sleeping sleeper』然り『モノトーン(次回アルバム収録予定の楽曲)』然り
どうやら毎回、一番最後にバラード曲を作るのが僕の仕様のようです。

基本アップテンポの曲ばかり作ってしまうので、バランス調整のため
アルバム制作のラストにこういう曲を作ることが多いんですよね。

ロック好きなので、個人的にはテンポの速い曲を作るほうが好きなんですが
でも周りから良い評価をもらえるのは大抵スローの曲なんですよね。
なぜなのか……いやまぁ、評価をしていただけるのは非常にありがたい
ことなので、文句を言うつもりは全くないですが。

ちなみに、この曲を作ることになった経緯はこんな感じです↓

いとちん「アルバム用にもう一曲作ろうと思うんだけど、ロック作っていい?」
Tas9「ダメ、民族系の曲作って」
いとちん「はい、わかりました……」

正直、無茶ぶりしやがってと思いましたが、なんとか完成する
ことができて良かったです。

元々5分近い長さの曲だったのですが、最後の最後で迷った結果、1分半の
イントロを全部削除してしまったため、この長さの曲になりました。

民族系の要素の大半をイントロに注ぎ込んでいたため、そこをカットしたら
割と普通のバラード曲になってしまったという、エピソードがあったり。
まぁ、個人的にあんまり長い曲は好きではないので、これくらいが
ちょうど良い長さだったのかなとは思っています。

歌詞は1曲目の『Jack the Drop Driver』に登場する
ジャックとダリアの結末を描いた内容になっています。
また、同時に次のアルバムに向けての序章的な内容も含んでいます。

最後に


2013年はとにかく、たくさんの曲を作った年でした。

今回オール新曲12曲のアルバムを制作してきましたが
それでも、このアルバムだけでは全然ストック曲を消化することが
できなかったというのが現状です。

結局、アルバムを作っている途中で
「収録したい曲が多すぎるから、もう一枚アルバム作ろう」
という話になり、2枚のアルバムを同時に作ることになりました。

そちらのアルバムは次回のM3で発表できればと思っています。

この2枚のアルバム『僕らの天球儀』と『All green』は言ってみれば
表裏一体のアルバムで、今回発表させていただいた『僕らの天球儀』は
その表の部分にあたるアルバムなのかなと思っています。

凄く頑張って作った自信作ですので、是非とも聴いていただけると嬉しいです。

それでは、最後になりますが、本作に関わってくれたすべての皆さまへ
本当にどうもありがとうございました。

2014年 2月16日 いとちん